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第1回研究会中間報告より

2009.10.07 [鹿児島]錦江湾高等学校

ダイコンの多様性(耐塩性に着目して) 

錦江湾高校理数科2年 植物分子生物学班 

日本は,世界一のダイコン生産国であり,消費国でもある。日本で栽培されているダイコンは100種類以上あり,桜島ダイコンのように非常に大きいものから,二十日大根のように小さいものまで形態も様々である。また,種々の栽培品種に加え,ハマダイコンのように,海岸近くの砂地に自生しているものもある。ハマダイコンは,日々潮風や,海水の飛沫などにさらされる環境で生活している。このことから,「ハマダイコンは,強い耐塩性を持っているのではないか?」という仮説を立てた(図2)。また,ハマダイコンと栽培ダイコンとの系統関係については1)栽培種がエスケイプしてハマダイコンが出来たとする説と2)ハマダイコンを原種の一つとして栽培種が出来上がったという説があり,まだ決着は付いていない。いずれが正しいにせよ,栽培種とハマダイコンはゲノムの一部を共有していると考えられる。それならば,「栽培品種の中にも塩に強いものと弱いものがあるのでは?」という疑問も持った(図1)。そこで,今回,全国SSHコンソーシアムによる「ダイコン多様性研究」の個別研究の一つとして耐塩性に注目し「ダイコンは耐塩性に関して多様性を持つか?」というテーマで実験を行うことにした。

一般的にダイコンは冬作物で,一部の品種を除いて今の季節に畑で栽培することは難しい。そこで室内で温度,光など条件を管理し,耐塩性を確認できる実験系の構築を目指すことにした。まず,耐塩性の指標を決定するために種子が多く手に入るカイワレ大根の種子を用いて予備実験をおこなった。具体的には,滅菌した種子を種々の濃度の塩化ナトリウムを含むMS寒天培地に播種し,1週間栽培後に発芽率,下胚軸長,根長,新鮮重を測定した。続いて,得られたデータをグラフ化し,塩分が発芽や各器官の成長に与える影響を解析したところ,調べた全てが指標になりうることが分かった。この結果をもとに,今年度は,?ハマダイコンは本当に耐塩性が強いのか,栽培品種間に耐塩性の違いがあるのか,などを調べていく予定である。

 

 

大根の辛味成分とその定量法について

ダイコン生命化学班

1 目的

 大根は,生産量が最も多い野菜であり,日本各地で栽培されている。大根搾汁液に含まれる辛み成分である「イソチオシアネート」は,発癌抑制の効果があることが京都府立大学人間環境学部中村考志准教授らの研究で確認されている。さらに免疫力を高めたり,殺菌作用や消化促進など様々な効果もある。そこで,大根の辛味成分について学習し,辛味成分の定量法を確立することにした。大根の品種や栽培地,栽培時期,あるいは,保存状態の違いと辛味成分の量についてのデータは,大根の多様性を理解するための重要な基礎情報になる。

2 方法

?       食味試験

 大根の上端部,中央部,先端部それぞれについて,外部と中芯部を摺りおろして食べ,その辛味の度合いを調べた。また,時間の経過による辛味の変化もみた。

?       辛味成分の定量法

 大根の辛味成分は,組織の破壊と同時に,含硫配糖体(グリコシノレート)が,共存する酵素ミロシナーゼにより分解されて生成されるイソチオシアネート類とされている。大根のイソチオシアネートはトランス-4-メチルチオ-3-ブテニルイソチオシアネート(CH3SCH=CHCH2CH2NCS)と同定されており,江崎・小野崎の方法に準じて比色定量する。辛味成分含量は市販のアリルチオウレアの検量線から求める。

?       辛味成分測定部位

 大根の上端部,中央部,先端部を輪切りにし,直径に対して皮から25%を外部とし,50%を中芯部とみなしイソチオシアネート含量を測定する。

3 結果と考察

 市販の青首大根を用いた食味試験では上端部,中央部,先端部,いずれも外部が辛く,上端から先端にいくに従って辛味が強まった。これは,大根に含まれる辛味成分の含有量は,部位によって均一でないことを示している。摺りおろして1時間後の食味試験では,全体的に辛味は弱まった。即ち,上端部は辛くなくなり,中央部と先端部は外部に比べ中芯部の辛味が弱まった。このことは,イソチオシアネートが,揮発性であり水溶液中では不安定であるという性質によるものと予想される。市販のアリルチオウレアを使用して検量線(y=0.002x,R2=0.9841)を作製し,比色定量法にて各部位の搾汁液中のイソチオシアネート含量を測定した。結果は,食味試験の結果を支持するものであった。

4 今後の課題

 辛味成分の生成は,組織の破壊に伴うミロシナーゼによる酵素反応であるため,組織の破壊方法の違い(おろし金の種類など)が辛味成分の含量に及ぼす影響を把握する必要がある。また,辛味成分は揮発性の不安定な物質であるため,組織破壊後の時間経過による含量の変化を調べる。それらの結果に基づいて実験を標準化し,様々な大根試料について辛味成分を定量・比較する。

 

 

 

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